本日はわたしの大好きな遠藤周作さんの本です♩
積読本が家に大量にあるので
しばらくは本を買わないつもりだったのですが、
大型書店で見つけて気になり購入してしまいました。
この本、タイトルからしたら何の本だかまったくわからないですよね。
実はこれ「手紙の書き方」の本なんです。
『三島由紀夫レター教室』が個人的に好評だったので、こちらはどんな切り口で書かれているのだろう?
と気になって読んでみました。
結果、こちらも大満足!!
やっぱりどちらも共通しているのは
テーマは「手紙の書き方」としながらも、
言っているのは「人と関わるうえでの考え方」
みたいな、すごく本質的なところなので、手紙を書かなくなった今でも全然通用する内容なんですよね。
「読み手の立場に立って手紙を書くところがスタートです。」
「ではどうやって?」
という話が、どちらも架空の登場人物を登場させて
実例を交えながら教えてくれるところは、
さすが作家さんだなぁと思いましたね。
さらに、今回は小説家ならではの
「物の考え方」
「世界のとらえ方」
「表現力の磨き方」
なんかも紹介してくれているので、もう本当にそれだけで大満足(笑)
小説家になりたいわけではないけれど(というかなれないww)
表現力は豊かな方が人としてステキだなと思いますからね。
磨いておいて損はないと思います!
作品について
タイトルと同じく、
「十頁(ページ)だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨ててくださって宜しい。」という一文から始まります。
序章がちょうど十ページあり、そこで
手紙というちょっとした行為は、良くも悪くもあなたの人に与える印象を大きく変えるものである
というメッセージを筆者のエピソードとともに紹介されています。
次の章からは「第一講」~「第十二講」と講座形式で名づけられており、各章でいろんなケースの手紙を例に、物事の考え方について教えてくれています。
学んだこと
だだこねるより一筋の涙
中でもわたしの大好きな章が
「第六講 相手の心をキャッチするラブ・レターの一寸したこと(男性篇)」です。
ここでは
「愛してる」
「あなたが好きだ」
「一生大切にする」
みたいな、ゴリ押しのラブ・レターはあまりよろしい例ではない、と言っています。
では、何がいけないのか。
どんな手紙であれば相手の心に自分の気持ちが届くのか。
その答えの一つで、個人的に目からウロコだったのが「抑制法」というもの。
「文章道の第一原則」と書かれていたので、
この道の方には当たり前の手法なのかもしれません。
これは、例えば「真夏の太陽の暑さ」を表現するとき、みなさんならどんなふうに表現するでしょうか?
わたしは凡人なので真っ先に思いつくのは、「ギラギラとした太陽」みたいな、「太陽がどんな様か」の方に焦点を当てたものでした。
しかし、この「抑制法」では視点が変わります。
「夏のまぶしさや暑さを描くなら光の方から書くな。影の方から書け」
(引用:新潮文庫『十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨ててくださって宜しい。』p104)
この言葉は遠藤周作さんが、先輩から言われた言葉だそうです。
太陽を形容するのではなく、太陽に影響を受けているものにスポットを当てる。
なるほどな~~、と。
確かに、そっちの方が影響を受けてる身として感情移入しやすいかもしれないですね。
きっとこれまで読んできた小説の中では当たり前のように使われていた表現の方法なのだと思います。
でも消費者目線でしか読んでいなかったので、
こういう、物の捉え方がまったく見えていませんでした。
これだけでも、これから小説を読む上で楽しみが増えたという点で嬉しい学びです。
で、話を戻すと、受け取る側と同じ視点に立つことができることから、この「抑制法」の方が、気持ちを伝えるのに効果的だということですね。
だから愛を伝えるのも、ありふれた愛の言葉で騒ぎ立てるのではなくて、
「自分の感情を抑えながらも、出ちゃった」
みたいなやつの方が、受け手の気持ちを尊重してるところにグッとくるよね、ということでした。
納得。納得すぎる!!笑
もう一つ「転移法」というものも紹介されていましたがここでは割愛します。
こちらもおもしろい考え方で、友達や職場の人など
「アタックしたいけどリスクが怖い」
というケースなんかではすごく使えるものでした。
気になる方はぜひ読んでみてください♩
表現を具体的にすると愛情が伝わる
『三島由紀夫レター教室』についての記事の方でも書いたのですが、
わたしは割と手紙を書くのは好きな方で、友達の誕生日や結婚祝いを送るときには
だいたいいつもメッセージカードを付けます。
しかし、文才もなく、表現力も乏しい私の手紙は、
なんだかありふれたメッセージカードにみえてしまうんですよね。
しかももう10年くらいの付き合いになる友達がほとんどなので、
誕生日というイベントももう10回近くやっているわけですよ。
そりゃもらう側も少なからず「慣れ」から感動が薄まってしまうのは仕方のないことなのかなと思っていました。
でもせっかく書くなら喜んでほしいじゃないですか!
そこで、今回この本を読んでいて「これは使える」と思ったのが、
「表現を具体的にする」
という方法です。
例えば、近々入籍する友達にお祝いのメッセージカードを送ろうとしましょう。
いままでのわたしだったら、
「結婚おめでとう。
お二人で力を合わせ明るい家庭を築いてください。
末永くお幸せにね。」
みたいな、誰にでも出せるようなメッセージを書いてしまうことでしょう。
そこを、
「いつも、どんな話でも包み込むようなやさしい笑顔で聞いてくれるA子ちゃんと結婚できる旦那さんががうらやましいです。
結婚おめでとう。末永くお幸せにね。」
とするとどうでしょう。
相手の特徴少し具体的にするだけで、結構うれしいメッセージになったのではないでしょうか?
これは具体的に今年結婚する友達のことをイメージして作ってみました。
これを実際にやってみると、相手を観察していないとできないことに気づきます。
いつもその人と関わるときに、その相手に何かメッセージを送るつもりで相手の良いところを探そうと接すると、人を見る目が養われるのではないか、と新たな気づきも得られました。
人の良いところをたくさん見つけられる人になりたいので、この訓練をどんどんやっていきたいなと思いました。
最後に
この作品は遠藤周作さんの未発表原稿だったそうで、亡くなってから刊行されたものです。
小説を読んでいても遠藤周作さんの優しいお人柄はひしひしと感じてはいましたが、日頃から「相手の立場に立って」ということを考えておられたことがよくわかりました。
そして、その思いがたとえどれだけ強くても、それを表現する方法を知らなければ何の意味もない。
とまでは言わないにしても、やはり具体的にどのような言動に表せばよいのかがわからなければ口だけになってしまうのは事実かなと思います。
わたしは「相手を思いやれる人間になりたい」という気持ちは常にあるのですが、やっぱりどこか口ばっかりだなと思っていたところもあったので、この本に書かれていることをまず叩き込んだうえで、自分だったらどうするか?と考えながら生活していくことで、人間性を磨いていこうと思いました。
解説を書かれた山根道公さんは、半年前にNHKの番組「こころの時代~宗教・人生~ 遠藤周作『深い河』をたどる 前編「日本人のキリスト教を求めて」に出演されていた方でした。
あらためて遠藤周作さんへの愛を感じられる、この解説を含めて最後まで楽しませていただきました。
解説で触れられていた、
「ユーモアは他者と結びつこうとする愛のあらわれである」
響きました。
ユーモアはなくても生きていけますけど、ユーモア次第で嫌みも愛に変わりますもんね。
ユーモアのある人になりたいです。
小説ではありませんけど、すごく温かい気持ちにさせてもらえる、素晴らしい実用書です。