今回はあのアインシュタインと同じ時代に量子論の領域で活躍された物理学者の一人であるリチャード・ファインマンさんに関する本です。
天才物理学者は日々どのようなことを考えて研究に取り組んでいたのか、どんな生活をしていたのか、どうやって難解な研究を成功させたのか、
そんな普段は知る由もない物理学者の日常をのぞき見できるこの作品についてお話します。
この本との出会い
この本はふらりと甲府に一人プチ旅行に行ったときに、フラフラと街の商店街にある小さな本屋さんに入ってみたところ出会った一冊です。
何気なく本棚を一通り見ていると「ファインマン」という聞き覚えのある文字に目を引かれて手に取りました。
以前量子論に興味があっていろいろと読んでいた時によく出てきていた物理学者の一人にリチャード・ファインマンという人がいたのを思い出し、「その人の話なのか?」と気になって手に取ってみたらそうでした。
これは興味のある量子力学についても知れるだろうし、偉人の人生観からは大概学びが多いだろうしということで読んでみたいと思い、購入しました。
ファインマンさん最後の授業/筑摩書房/レナ-ド・ムロディナウ
どんな本か?
タイトルに「ファインマン」という名前が入ってはいますが、著者はリチャード・ファインマンではなくレナード・ムロディナウさんという物理学者の方です。
彼が博士号を取ってカリフォルニア工科大学(通称カルテク)の研究員になったとき、今世紀最高の物理学者の一人であるリチャード・ファインマンの研究室がすぐそばにあったことをきっかけに、病に侵され死を目前にしたこの偉大な物理学者から様々なことを学びながら、自身の能力への不安と重圧を乗り越え自分の人生を見つけ出すまでの実話をもとにした物語となっています。
何かを成し遂げるだけの能力が自分にあるのか。
創造性の本質とは何なのか。
ファインマンさんから発せられる言葉は、生き方やキャリアに悩む現代を生きる私たちにも刺さりまくります。
読み終えたとき、人生とは何なのか。
どこからか与えられた時間というものを、私たちは何に使えばよいのか。
その答えが、あなたの答えが、きっと見つかる一冊だと思います。
感想
めちゃくちゃよかった!!!控えめに言ってもすごくよかった。
何が良かったかと言うと、リチャード・ファインマンという人物を少しだけ知ることができたと同時に、彼の数々の言葉にはとても重みがあってとにかく前向きな気持ちになれたことです。
読み終えてみるとすごくたくさんの付箋を貼っていたことに気が付きました。
その数々の言葉の中から特に響いたものを3つ厳選しました。
「デカルトがその気になったのは、虹を美しいと思ったからだよ」
私がこの本を読んでいて一番ブワッときたのはこの言葉でした。
鳥肌が立ったと言っても言い過ぎではない感じだったと思います。
虹がどうやってできるのかを最初に説明したデカルトが、なぜ虹を数学的に分析しようと思ったのか。
虹にどんな特徴があるからか。
とファインマンに問われるムロディナウでしたがわからず。
その答えがこの「デカルトがその気になったのは虹を美しいと思ったから」というものでした。
この場面は、カルテクという将来を期待された科学者たちが集まる環境の中で、自分の能力に不安を感じながら研究テーマを見つけられずキャリアに悩むムロディナウへ、科学が大好きだった子供の頃を思い出させるというシーンなのですが、粋な言い回しに頭の良さと人格とが現れててカッコよすぎますよね。。。
「そう言い聞かせては、自分を夢中にさせるんだ」
二つ目に選んだ言葉は、ファインマンの物理学者として問題へ取り組むときの姿勢について話している場面でのものです。
私はこれまで天才物理学者と言われる人たちは、自分とは違う世界の人できっと難しい問題を楽々と解いてしてしまうのだろうなと漠然と思っていました。
しかしそれがとんだ失礼な勘違いだったと気づかされた場面でした。
ファインマンは難しい問題に取り組むときに次のように考えると言っています。
「この問題は、僕の方法を使えば楽に解決できる。
他のヤツのアプローチは間違ってる。
今まで解決できなかったのは、ヤツらが正しい方法を使わなかったからだ。
でも、僕はもっと別の方法をとるから大丈夫」
そう言い聞かせては、自分を夢中にさせるんだ。
なぜ、そうまでするかというとね、問題が困難な場合、長い時間をかけて我慢強くやりぬかなくちゃいけないだろ?
そのためには、必死になって研究する価値がある、きっと結果を出せる、と信じないとやってられないからなんだよ。
自分をちょっとだましてるみたいになるんだな。
読んで変わったこと
ファインマンさん最後の授業/筑摩書房/レナ-ド・ムロディナウ